2021/05/13
注文住宅は、既に完成している住宅を買うのとは違って、契約まで、上棟まで、完成までとさまざまな打ち合わせを重ねます。
このページでは実際の注文住宅のための打ち合わせの流れを、時系列で追っていきたいと思います。
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契約前の打ち合わせ
注文住宅の細かい打ち合わせは、一般的には建築請負契約後に行われます。
なぜなら、建築施工業者側から見れば、「契約前に間取りや仕様まで細かく打ち合わせして、結局契約してもらえなかった」ということになると、無駄な時間を取られてしまうからです。もちろんその間の人件費もかかっています。
「いろんな施工業者に細かく見積してもらって、一番お得なところで建てたい!」という気持ちは分かりますが、施工業者も暇な訳ではありません。相見積は、より自分のニーズや予算に合った家を作るために不可欠ですが、値引きのために、わざと同ランクの建築業者に競合させて見積をというのはマナー違反ですのでやめましょう。
この項では、最終的に絞った候補との「契約前」の打ち合わせについて、経験者の視点から振り返ってみたいと思います。
間取りの打ち合わせ
わが家は最終的に、某中堅ハウスメーカーに建築をお願いしました。
建築業者によって異なるのかもしれませんが、私が依頼したハウスメーカーでは、契約前に出てくるのは「営業のみ」です。敷地の簡単な測量の後、間取りなどの提案も営業から受けます。実際には、社内で設計担当の方などと話し合って考えられていたのかもしれませんが、私たちの目の前に設計担当の方が座って打ち合わせするということは、契約前では一度もなかったです。
ここで決めた間取りは決定ではないことが多いと思うのですが、この間取りを基に建築請負契約となってしまいます。私の依頼したハウスメーカーでは標準仕様が決まっていたので、坪数が変わらなければ、窓や建具の追加などで追加費用が発生することはないということでした。
契約前に希望の仕様を決めて追加費用を抑えよう
建築請負契約の時点では、その建築業者の標準仕様が設定されていることが多いと思います。標準仕様がないのに、見積明細書がもらえない場合は、設備や内装などの仕様がどうなっているのかは確認しておきましょう。
基本的に契約前に細かい仕様の打ち合わせまですることはないと思いますが、契約前に決めておけば、そこまで高額な追加費用が発生しないことは多いようです。たとえば、相見積中の競合がある場合は、値引きより、予算内で仕様のグレードアップを注文することはとても有効な手段だと思います。
私が契約前に「決めておくべき」だと思うものは以下の通りです。
- エコキュート容量を370Lから460Lに増やす(4人家族なら460Lにしたほうが良い)
- 外壁サイディング継ぎ目のシーリング材を高耐久のものに変更
- 浴室とキッチンのランクアップ(標準仕様に気に入ったものがなかった場合)
- 窓性能のランクアップ(樹脂サッシトリプルLow-eガラス)
- クロスを高耐久のものに変更
- 無垢床フローリングをウレタン塗装ではなくオイル塗装のものに変更
わが家の場合、上のものを契約後に変更すると相場以上の費用がかかるので諦めました。しかし、契約前なら、「こうしたい」と訴えていれば、相応の価格で追加してもらえたのではないかと考えています。
なぜなら、リフォームサイトなどでエコキュートの価格を見ていても、容量が増えただけでは金額はさほど変わらなかったのに、契約後に増やすと10万円以上かかると言われたからです。壁紙や設備についても、契約後に言うとほぼ定価分ほどが追加されることもあるようですが、契約前なら、同じメーカーのものなら定価との差額程度の額で追加できるのではないかと考えています。
とにかく契約してしまえば、それ以降「お得に何かを追加すること」は不可能です。業者側はもう契約してもらっているので「割引する必要がない」からです。むしろあとはオプションでどれだけ利益をアップするかを考えるでしょう。仕様を予算内でグレードアップしたいのなら「契約前」の交渉が要です。
契約後の打ち合わせ
契約後の打ち合わせは、設計担当の方と主に考えて、営業担当は次第に遠ざかっていきます。
そのため営業担当に口頭で言っていたことなどは、設計担当には伝わっていないことがあります。必ず書面で残しておくようにしましょう。
間取りの決定
間取りが決定しないことには、工事が始められません。
少なくとも地盤改良までには決定しておく必要があります。部屋の位置や大きさが変わらなければ(たとえば、洋室の一部を畳スペースにしたいなど)間取りが確定しても変更できます。
これはわが家の場合、契約後1カ月、着工2カ月前までには決定していました。
建築請負契約書には間取り図も記載されるため、大幅な変更は難しいと思いますが、後悔のないように熟考しましょう。
住宅設備や内装建材・窓・玄関ドアのショールームを訪問
内装の打ち合わせ前に、キッチンやサニタリーなどの設備、床や建具などの内装建材、窓・玄関ドアなどのショールームを訪問します。実際のものを見てから、内装の打ち合わせとなります。
見ても、標準仕様が決まっていると、ランクアップで追加費用がかかってきます。
しかし、見積は無料なので、希望を伝えて見積依頼すると、建築業者を通して後日見積してもらえます。
内装材・建具・サッシの打ち合わせ
ショールームでの希望をもとに、内装を決めます。床材や建具、サッシなどはだいたい着工1カ月前くらいまでに決めると思います。具体的には以下のもの、わが家の場合は標準仕様から変更しなかったので主に色を決めていきました。
- 床(フローリング)
- 巾木
- 笠木
- 扉(色・形状)
- 階段
- シューズボックス
- 建具の枠
- サッシ(内側・枠)
- 洗面所の扉に鍵を付けるか
- 階段の手すりの位置
- クロス・天井
- 収納の中(棚やポールの位置)
頭の中だけで想像するのは難しいので、住宅サイトやリフォームサイトなどからイメージに近い内装の画像を見つけて色々シミュレーションしてみましょう。
床や巾木、建具のバランスとしては、私の個人的な意見としてこちらの記事にもまとめてあります。
アクセントクロスなど、サンプルを見ながら決めるのは楽しかったです。
しかし、メインの壁はできれば高耐久なものにしたほうがいいです。安価なものは爪でひっかくとすぐにはがれます。
また、わが家のようにキッチンの背が腰壁で、その部分にダイニングテーブルをくっつけて使う場合、腰壁の壁紙を防水仕様にしておいた方がいいです。ホットプレートや鍋などをすると意外と飛び散りますし、子供がいるならなおさら拭けばすぐに汚れが取れる防水仕様のものにしておくほうが後々お手入れが楽ちんですよ♪
外装の打ち合わせ
外装の決定は、遅くとも着工10日前、上棟1カ月前には済ませておくことになります。
わが家の場合、屋根はほとんど太陽光パネルになったので、下のガルバリウム鋼板の色をパネルと同じ黒に合わせました。
破風(はふ)という屋根を構成する部材や、軒天という屋根の真下の部分の色も決めていきます。これらを無垢材で贅沢に仕上げる家もあります。
- 屋根
- 雨どい
- 破風
- 軒天
- ポーチタイル
- サッシ(外側)
- 外壁
- ベランダ手すり
- 玄関ドア
多くは外壁の色を見て決めていきます。
わが家の場合、外壁がアイボリーベースで、アクセントが濃茶だったので、サッシの外はブラウン、玄関ドアは黒に近い濃茶、破風と軒天は濃茶にしました。
雨どいは破風と軒天に合わせて茶色にしたのですが、これがまた設計担当の方と行き違いがありました。
打ち合わせでは雨どい=茶色となったので、私は「すべての雨どいが茶色になる」と思っていたわけです。ところが出来上がったら、雨どいが白いのです。
なぜか聞いたところ、以下のような答えでした。
雨どいは「軒樋(のきどい)」という屋根に平行な樋と、「竪樋(たてどい)」という屋根に垂直な樋に分かれるそうで、一般的に軒樋や破風や軒天の色に合わせ、竪樋は外壁の色に合わせるそうです。だから竪樋は普通白ですよ、と。
いやいや、じゃあ打ち合わせで軒樋と竪樋の説明もして、施主に確認しときましょうよ、と心で叫びました。
しかも、外装失敗の記事でも書いたように、わが家の玄関庇部分の雨どいは、下の画像のようにとっても目立つ形にされてしまったのです。
茶色の軒天に白い雨どいがたいへん目立って変ですよね。これは大失敗部分です。アイボリーはたしかに白に近いですが、微妙に修正液のように浮いて見え、ニチハさんのわが家の壁サイトの画像を渡して「こういう感じの外観にしたい」とも言っていたはずなのですが、まったく伝わっていませんでした。
でもこの竪樋の付け方では、茶色だとますますおかしいのかもしれません。外壁に穴を開ける作業なのであまりやり直すのもどうかと思い諦めました。
こんなことはないかもしれませんが、本当にあった失敗です。くれぐれも、雨どいの色は軒樋と竪樋どちらも確認しましょう。
コンセントやスイッチなどの電気関係位置の打ち合わせ
注文住宅失敗ランキング上位にもよくランクインする「コンセントの失敗」、私もありました。これも着工1カ月前、上棟2カ月前くらいには決定します。
まずLDKのような幅が大きい部屋の場合、部屋の真ん中あたりにコンセントがないととても不便です。
たとえば扇風機をダイニングにもリビングにも回したいのに、部屋の端にしかないのでどちらかにしか当たらないなどです。
あとは、せっかくパソコン用のカウンターを造り付けしたのに、そこにコンセントがないという信じられない失敗をしました。
よほど気の付く担当さんでないと、向こうから色々提案してもらうのは難しいのかもしれません。
施主側はほとんど家を建てるのは初めての経験なので、こういうことに気が付くのがプロの施工者ではないのかと私は思うのですが、多くを求めすぎたようです。
コンセントやスイッチの位置を決めるのにも、収納の決め方と同様に、間取り図に使う家電を書き込む形が有効だと思います。
上棟から半月後くらいに、現地で施主電気設備確認があるので、そこで実際に見ながら追加してもらうことも可能です。
照明・カーテンの打ち合わせ
わが家の依頼したハウスメーカーでは、標準仕様で照明も全室LEDで、カーテンも全室付いていました。予算は限られているので、「この中から選んでください」という形です。
照明とカーテンは数が多すぎるということでショールームへは行かず、プランを提案されてそれにOKする形でした。気に入らなければ「こんな感じので」とネットなどで探したイメージに近い照明の画像を送りました。
最終的な決定も、写真で行うのですが、これがまた失敗でした。
形は分かっても、大きさは写真ではよく分からないのです。
たしかにサイズなどは型番を調べれば書かれているので、慎重な人は「あれ小さいな?」と気づくのでしょう。私は大ざっぱな人間なので完成するまでまったく気づきませんでした。
玄関の照明は勝手口か?というレベルのもので、なんだかがっかり…。
ダイニングの照明も、夫がペンダントタイプの(最近よくある3つくらいがダイニングテーブルの上にぶら下がっているもの)照明が嫌だというのでシーリングタイプのものにしたのですが、これがまた小さいのです。
照明は大きさをしっかりシミュレーションしましょう。
カーテンは、打ち合わせ日がなかなか取れず、上棟日の朝にカタログをもらい、その日のうちに決めました。選択肢が少なかったのでどの部屋も満足いくものにはなりませんでした。
後で気づいたのですが、予算をすべてリビングに集中させ、いいものを選び、後は自分でカーテンショップで好きなものを選ぶということもできたのかもしれません。
もし、同じくカーテンや照明が標準仕様となっている業者で建てられる方がいらしたら、一度担当さんへ聞いてみてはいかがでしょうか。
まとめ
このように、注文住宅の打ち合わせは細かいわりに後から気づく失敗もやはり多いです。
- 追加したい仕様は契約前の段階で決めておく
- クロス(壁紙)は高耐久のものが良い
- 家族4人以上ならエコキュートは460L以上が良い
- キッチンの背が腰壁でそこにダイニングテーブルを付けるならクロスは防水仕様が良い
- 雨どいは軒樋と竪樋に分かれるのでどちらの色も確認する
- コンセントやスイッチの位置は使う家電を間取り図に書き込んで考える
- 照明は形だけでなく大きさも確認する
- 照明やカーテンが標準仕様の場合は、リビングなどに集約できないか確認する
私の失敗を教訓に、後悔のない家を建ててもらえれば幸いです。