2021/05/13
注文住宅を建てるにあたって、土地がすでにあるという人のほうが少ないと思います。
大規模な新規分譲地の場合、建築条件付きであることがほとんどです。建てたい施工業者が決まっていて、土地探しから始める注文住宅は、もっとも難しいかもしれません。信頼できる施工業者なら、土地購入から相談するほうがいいでしょう。
なぜなら、土地を探してくれる不動産業者は「どのような家を建てるか」まで考えて土地を探してはくれないからです。家を建てるための土地なら、家を建てる施工者と一緒に探すのがベストです。
駅からの交通の便や商業施設・医療機関が充実しているかなどももちろん大切です。
しかし、今回はそういった利便性ではなく、土地そのものの注意点についてご紹介します。わが家は、いろいろな土地を見ましたが、結局前面道路6m、間口約10mの、新築ばかりが集まる分譲地にしました。駅から遠い、徒歩圏に商業施設がないなどの面では資産的価値が低く失敗だったのかもしれませんが、前面道路と間口が広く住みやすいという点はとても満足しています。
このページでは、私が見たいろいろな土地のうち「ここはやめて正解だった」という経験をもとに、土地から購入のマイホームを計画している方が後悔しないためのポイントをまとめたいと思います。
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前面道路が狭い
前面道路が5mない土地は、車の出し入れがとてもしにくいです。とくに私道負担のある土地は要注意です。私道の場合、道を駐車スペースや鉢植え置き場にしている家もあります。またはみ出し駐車などをしている家があると、さらに通れる幅が狭くなり大変です。
実際は置いている方やはみ出している方ががマナー違反だとしても、トラブルを起こすと住みにくくなるという点から泣き寝入りするケースも多いようです。
もちろん、前面道路が狭い土地でもうまくやっていけるケースもあります。
しかし、自家用車を所有している場合は、前面道路が5m以下などの狭い土地は避けたほうが賢明でしょう。6mあれば前面道路に対して垂直な方向の駐車スペースでも、余裕を持って駐車できます。子育て世帯はワンボックスカーが便利なので、前面道路の広さはとても重要なポイントです。
間口が狭い
間口とは、正面道路側からみた敷地の幅のことです。前面道路が4m以上、接道間口が2m以上あれば家は建てられることになっていますが、自家用車がある場合は厳しいです。前面道路6m、間口8m以上が理想的です。
稀に旗竿地と言われる、旗のような形の土地(持ち手部分が接道出入り口の細い道で奥まったところに広さがある土地)が安く売られています。これも、優れた建築業者に当たれば活かせるかもしれませんが、自家用車がある場合は、かなり使いづらい土地だといえるでしょう。
もし間口が3mほどあっても、常に車が置かれている状態なら、自転車やバイクの出し入れなどは、とてもしにくいです。また将来売却することになっても、買い手がつかない可能性も考えられます。
高低差がある
高低差が2m以上ある土地は、一般的に避けたいと思う人が多いです。外構費用が多く必要になることや、長い階段を作らなければならないというのが大きな理由でしょう。
わが家が高低差2mの土地ですが、外構費用は、相場として260万円ほどでした(実際は安い施工業者に依頼し220万円になっています)。擁壁がすでにできていたので、それがなければ400万円以上かかっていたかもしれません。
高低差のある土地は高齢になった時に不便で、売却の際も嫌われる傾向があります。
ただ、前面道路が広く、間口も広い土地なら、外構さえうまくできれば前面道路に対し平坦な土地よりプライバシーの確保はしやすいというメリットもあります。
私は、平坦だけれど前面道路が狭い、間口が狭い土地より、高低差があっても前面道路や間口が広い土地のほうが住みやすいと思います。
擁壁がある
前面道路が平坦で、裏側が5mほどの擁壁になっている土地が格安で売られていました。これは、写真を見ただけで怖いと思い見に行くこともしませんでした。ただ、とても安く売られているため、お得だと考える人もいらっしゃるかもしれません。
しかし、たとえ前面道路から平坦な土地であっても、他の面に高い擁壁がある土地はとくに注意が必要です。
敷地境界や擁壁管理責任がどちらにあっても、擁壁上側の家と下側の家とでトラブルになる危険が高いからです。家の建て替えや経年劣化などで擁壁を造り変えることになったとき、かなり難しいことになると思います。家の前に擁壁があるよりややこしい土地だと言えるでしょう。
また擁壁の下に家がなく、公共道路や公園などであったとしても、震災などで崩れる危険性もあります。
擁壁を造り変えるには、数百万~千万単位の費用がかかることがあります。自治体の補助などが受けられる場合もありますが、とにかく境界が擁壁となっている土地は、裁判沙汰にまで発展するトラブルが多いので、避けたほうが賢明でしょう。
幹線道路沿い
幅員が広く、交通量が多い幹線道路沿いの土地も見に行きました。家の前が大きな道路だということです。
狭い道路沿いの土地よりいいと思ったのですが、これもやめておいて良かったと思います。理由は以下の通りです。
- 車の音がうるさい
- 敷地に車を入れる際に歩道をまたがなくてはならない
- 幹線道路からバックで入庫、またはバックで出庫しなくてはならないので危険
- 人目が気になる
また幹線道路が裏側で、表側に住宅街の道路がある土地もありますが、2方向を道路に挟まれているため固定資産税が通常より高くなるそうです。外構費が多くかかる傾向もあります。また家の裏が幹線道路というのも、プライシーが気になるところです。陽当たりが良いというメリットはあるので、良い提案をしてくれる建築施工者に当たれば成功するかもしれません。
ただ、幹線道路沿いだからといって相場より安く売られていることは少ないことから考えると、デメリットは大きいと思います。
近くに危険な場所がある
子育て世帯にとって気になるのは、子供の通学路や行動領域に危険な場所がないかどうかです。
私は、そこに家を建てたら通うことになる学校の通学路を調べ実際に走ってみました。すると、路側帯さえないような狭い道路、片側が竹藪、片側が池や田んぼの人目につかない道路が通学路となっており、即あきらめました。たとえ学校まで徒歩10分程度だとしても、そのような危険な場所を毎日通るのは避けたいものです。
そういった場所はのどかで素晴らしいと思いますが、高齢ドライバーも多く、通学時の事故の危険性が高いと思われます。また、竹藪や池のある通学路は変質者に遭遇する危険も高いです。
また通学時でなくても、子供同士で遊びに行くような年齢になったとき、誤って池に落ちるという事故の心配も高まります。子育て世帯なら、必ずチェックしておきたい項目です。
空き地や空き家に隣接した土地
周囲が空き地だらけという場合、夜間徘徊する集団のたまり場になっていることがあります。夜中に騒音で起こされ、注意したら逆恨みされて壁に落書きをされるなどのトラブルが原因で、買った家を手放したという例も聞いたことがあります。
また隣地に人の出入りしない建物があると、空き巣に狙われやすいです。人目につかずに、留守をうかがって侵入できるからです。また管理されていない建物だと、敷地内に木の枝や草が伸びてきたり、野良猫の住処になったりという心配もあります。
隣地に集団のたまり場になりやすい空き地がないか、隣地が空き家でないかなども注意したいポイントです。
まとめ
土地を買う際には交通などの利便性も大切ですが、実際に住みやすい土地かどうかが重要です。道路の幅員や間口の広さ、高低差など家の建てやすさや使い勝手のポイントから、擁壁の有無などの管理面、幹線道路沿いなどの騒音や安全面、また通学路や治安などの面など、あらゆる面から考えて慎重に検討しましょう。
大手ハウスメーカーのシェアが高いのは、こういった面ではずれのない土地が確保されているということが大きいと私は思っています。更地で探すより、20年ほど前に分譲された住宅地などで、古家を探し建て替えるという方法も検討すべきだったかと今となっては思います。