2021/05/13
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家を買ったら転勤させられる事は多い
残念ですが、家を買ったら転勤させられることはいまだに多いです。わが家も家を買って1年半で転勤となりました。
友人の夫も築後2年で転勤となり、その1年後、せっかく建てた家を売ることになりました。
夫の同僚も、家を買ってすぐに転勤になり、6年後、やっと家から通勤できる部署へ帰ってくることができました。
「これはワースト」と評された最悪のブラック企業の慣例とはの記事にもあるように、住宅ローンを背負ってしまうと、会社にしがみつくしかなくなります。その結果、あまりみんなが行きたがらない部署へ転勤させる企業が多いということです。これがブラック企業だというなら、日本の大企業はほとんどそうなのではないでしょうか。
このページでは、そんな日本企業に嘆きつつも、新築後に単身赴任した場合のメリットについても考えていきたいと思います。
住宅ローン控除で、所得税・住民税が還付されるというメリット
新築後、間もなく単身赴任となって、何かメリットがあるとすれば税制面ではないでしょうか。
単身赴任すると、別居手当や地域手当、帰省手当など、なんらかの手当が出されることがほとんどです。
会社の命令で転勤しているのだから、帰省手当まで収入に含めるのはどうかと思っていたのですが……
しかし、これは税制で定められているということなのです。出張など「業務遂行に必要な交通費」と認められなければ、月々支払われる帰省旅費などは所得に含まれるのです。
たとえば、帰省旅費としてに月5万円支給されるなら、年収は60万円増えることになります。当然それにかかる所得税・住民税・社会保険料も増えます。
単身赴任前の課税所得額が300万円だった場合、手当などで60万円所得が増えるとすると課税所得額は360万円となり、所得税率は10%から20%に増えます。単身赴任前の課税所得額が650万円だった場合、60万円所得が増えると税率が20%から23%に増えます。これはかなりこたえますよね。
しかし、住宅ローン開始後10年間は、年末ローン残高の1%が還付されますので、所得税と住民税が軽減されます。借り入れ額と所得額のバランスにもよりますが、所得税分がまるまる返戻され、さらに住民税が軽減されることも多いです。
ということは、手当によって所得が増えても税制面では損にならないということです(社会保険料は上がるかもしれませんが)。これが「家を建ててすぐに単身赴任になった場合の唯一のメリット」だと言えるのではないでしょうか。
単身赴任で住民票を移したら住宅ローン控除は受けられない?
単身赴任で住民票を移しても、きちんと届け出をすれば住宅ローン控除は受けられます。
ただし、実際に住民票を移す人は少数派のようです。
なぜなら、単身赴任者のほとんどには扶養家族がいるからです。住民票を移すということは、世帯を分けるということです。夫婦+子供の世帯で夫が単身赴任する場合、赴任先に「夫が世帯主」の住民票、元の自治体に「妻が世帯主」の住民票を置くことになります。
そして夫が無事元の家に帰ってこられたとき、「妻が世帯主」の住民票に夫が入ることになるそうです。なんだか変ですよね。
それだけでなく、住民税のうち「均等割」が赴任先の自治体と家族の住む自治体に、二重に支払う必要がでてきます。年収600万円で年間4~5千円程度ですが、負担が増えることになります。
また、単身赴任を選択するもっとも多い理由は「子供の教育環境のため」だと思われます。ということは、児童手当を受給している世帯が多いということになります。
住民票を移動させると、乳幼児医療費助成は子供が住む自治体のままですが、児童手当は赴任先の自治体から受給することになります。児童手当の受給元自治体が変わると、最初の年は前住所の自治体から発行された所得証明書を提出するなどの面倒な手間がかかります(私は住基ネットやマイナンバーが完成すれば、こういう面倒がなくなるものだとばかり思っていました)。
手続きだけの問題ですが、今まで妻がしていた場合、夫がそういった手続きをしなくてはいけないことになります。
また海外赴任でなければ、私立幼稚園就園奨励費補助金などは元の自治体で受け取れるようです。保育料も世帯分離しても同一世帯と見なされるので、世帯収入は同じと見なされ、安くなることはありません。
ただ、こういった面倒が多いわりにメリットがあまりないことから、終わりが分からない単身赴任の場合も、住民票を移さないという人が多数と言われています。
今後生き残るのは「プライベートとの両立」を目指す企業
家庭第一ではなく会社第一
日本人(とくに団塊ジュニア世代以上の人)は「それが普通」と思っている人が多いです。育児休業やリモートワークの充実なども、トップが若い企業のほうが多いような印象です。
家を買ってしまったら、ローンを払うためにはどんな環境でも働くしかない。空いたポジションには、どこかから補充しなくてはならない。そして1人で2人分の仕事をこなさせる。それが今の日本企業の姿だと思います。
文句を言わず従うのは「働くしかない」使命を背負った社員です。マイホームを買うと、こういった経験をしている人は本当に多いです。
しかし今後は「仕事とプライベートの両立を目指す企業こそが生き残る」と私は考えます。このストレス社会ではそれは必要不可欠な条件です。
義務を果たさずに権利だけを主張するということではありません。奉仕型の労働に慣れてきた人は、そんなの甘えだと思われるかもしれませんが、プライベートの充実は人間にとって当然の権利です。
なんのために仕事をするのかと言うと、プライベートを充実させるためなのではないでしょうか。
仕事が楽しい人は、それで充実するかもしれません。だから、多くの成功者たちは「好きなことを仕事にしろ」と言うのです。なぜなら、好きなことであれば仕事もプライベートのうちとなるので、ストレスが溜まらないからです。
しかし、「お金のために仕方なく仕事をしている」という人がほとんどなのではないでしょうか。私の夫もそうです。1人で2人分の仕事をしています。
家族から離れて1人になり、ほぼ2人分の仕事と、家事をひとりでする必要があります。家族に会う、ただそれだけのために1泊2日の休暇を片道3時間近くかけて帰ってくることになります。
体力の負担、金銭の負担、精神的負担…それぞれ大きいです。
転勤族は家族事情など考慮されない
夫は転勤族のため、義父が余命宣告をされても車で5時間以上かかる土地から動かしてもらえませんでした。結局、死に目にもあえず月に1度会いに行くことを数回繰り返しただけで義父は亡くなりました。
もちろん、その頃は家族帯同なので、帰省のための費用も自腹です。おそらく、私や子供が同じ目にあっても、考慮してはもらえないでしょう。日本企業とはそういう体質なのです。
単身赴任規程でも、介護を理由とする認定基準は同居家族に限られています。つまり同居家族に要介護者がいても、単身赴任はできても転勤を免れることはできないのです。
これほど時代錯誤な国ってあるのでしょうか。
日本には未来が見えない。不安なことばかりが待っている。そうとしか思えないから、景気なんて良くならないのです。
一部の富裕層に都合がいいだけの税制で、最も高い割合の層の負担が大きいから