2021/05/13
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太陽光発電システムによる売電収入の実際
数年前は大容量太陽光発電システムによるローン0円住宅 なるものが流行っていました。わが家もローンが0円になるとは考えていませんでしたが、その恩恵を受けようとして10kwの太陽光パネルを載せたクチです。
結論から言うと、1ヶ月あたりの売電収入はせいぜい3万円前後です。パート収入に例えるなら、時給850円のパートを1日5時間、週2回した程度です。初期費用に300万円かかっていることを考えると、10年くらいで元が取れることにはなりますが、それだけ?というのが大方の人の感想なのではないかと思います。
今回は、10kwの太陽光発電システムによる売電収入の実例をご紹介し、今後の太陽光発電システムの是非について考えたいと思います。
わが家の売電量と売電収入
まずは入居してから先月までの、わが家の売電量と売電収入は以下表のとおりです。
[table id=7 /]
入居は2015年でしたが、2014年度の固定買取価格で申請できたため、10kw以上で32円+消費税が実現しています。
2017年度の10kw以上の買取単価は21円+税になっているので、同じ量のパネルを載せると以下の表のようになります。
[table id=10 /]
2017年度の買取単価で計算すると、10kwの太陽光パネルを載せても月2.3万円程度になってしまいます。わが家は北側の道路に面しているので、南側の道路に面した家であれば、また日照条件なども変わってくるのかもしれません。しかし屋根の上にはそれほど障害となるものはないので、それほど変わらないのではないかと思います。
初期費用以外にランニングコストもかかる
固定価格買取制度は、一旦契約した場合10kw以上だと20年間当初の価格で買取が約束されます。平均月2.3万円の売電収入が得られるとして年間27.6万円、単純に計算すると10~11年で元が取れることになりますが、初期費用のほかにランニングコストもかかってきます。
とくに、パワコンという太陽光パネルで得た電気エネルギー(直流電力)を家庭で使える交流電力に変換する機械の寿命は長くて15年と言われています。
保証期間は5~10年で、15年くらいまでに交換が必要になるということです。
わが家のような10kw以上の容量だとパワコンが3台必要になるのですが、1台あたり20万円くらいするらしいので20年間の間に60万円が交換費用として必要になる可能性があります。
ちなみに、パワコン1台8万円で20年保証にできるというお知らせが入居後1年くらいしてから届きました。先に言ってくれ…と思います。
新築時なら24万円(8万円×3台)も必要経費と思えたかもしれませんが、住んで1年も経ってからの24万円の出費は痛いです。しかも10年後なんて、もっと高性能で安いパワコンがあるかもしれないし…延長保証は見送りました。
その他に、太陽光パネルも発電する力は年々落ちていくと考えられます。パワコンを交換しても、パネル性能が落ちていれば、発電量は落ちていきます。やはりコンスタントに20年売電収入が得られるという保証はないということです。
10年でやっと初期費用が回収できるということは、取り返していくのは10年後からということです。
そもそも、自分の家で使えない電力を屋根で作る目的は、家計の負担を軽減するためなのに、10年後パワコンが故障、パネル性能の劣化などで、再度費用が発生する可能性があるのです。
それを直して、また数年は費用を回収する期間になります。その後、純粋な収入となっても、良くて週2回のパート程度のものなのです。その間も外壁などのメンテナンスは必要となります。
片流れで軒の出の少ない屋根は、外壁が劣化しやすいので、軒の出の大きい家よりメンテナンスサイクルが早く訪れるかもしれません。買取単価が使用する電気単価より低下した今、大容量太陽光の時代は終わったといえるでしょう。
今後は10kw未満で自給自足程度の発電が良い
このように、システム故障のリスクや劣化による性能ダウンなどのリスクを考えると、週2回のパート代程度にしかならない収入のために屋根の自由を奪われ、大幅な初期費用がアップすることはマイナス要素であると私は考えます。
2012年の再生可能エネルギー固定価格買取制度開始当初は、10kw未満の場合で42円(10年間)、10kw以上の場合で40円+消費税(20年間)という高単価が実現していました。
この価格であれば、たしかに容量や借り入れ額によってはローン0円も可能だったのかもしれませんが、今となっては夢物語です。
2017年度の固定買取価格は10kw未満であれば28円です。2018年度には26円、2019年度には24円となることが決まっています。10kw以上については2017年度分しか決定していませんが21円+税より上がることはないのではないかと思われます。
これからの時代、太陽光発電は大容量で売電収入を得るより、省エネ・自給自足の手段だと考えるほうが賢明でしょう。5~6kwほどのパネルを載せるだけなら、屋根もメンテナンス性の良い切妻屋根にできます。
そのうえで余剰買取の申請をすれば、うまくいけば余った電気を売れるので、省エネ意識にもつながるでしょう。
今後は10kw以上の固定買取単価は10円台に突入するでしょう。その分、初期費用も安くなるとは思いますが、費用対効果のバランスは変わらないと思います。
大きな初期費用をかけて大容量太陽光発電を載せるなら、その分屋根や外壁、断熱サッシにお金をかけて、省エネ性とメンテナンス性が高く長持ちする家を作るほうが良いのではないでしょうか。私はそう考えます。