2021/05/13
慣れない運動をはじめ、全身筋肉痛のアラフォー主婦りんごです。こんにちは。
今回は注文住宅の総予算について考えてみたいと思います。
注文住宅は、人によって違うので、「相場」というものはありません。
しかし、地元工務店、ローコストメーカー、中堅ハウスメーカー、大手ハウスメーカーなど、施工先によって坪単価のめやすというものはあるようです。
とはいえ、オプションなどの追加によって幅があることや、施工者によって坪単価の計算方法が違うので、実際には「はっきり見積を出されるまで」、というより「最終精算されるまで」分からないことが多いです。
つまり、坪単価の相場で考えていては、最終的に予算を大きく上回る可能性があるかもしれないということです。
このページでは、相場や坪単価にこだわるより大切な「総予算」の考え方について述べさせていただきたいと思います。これを読むことで、資金計画に失敗し家計が破綻するという危険を回避できるのではないかと思います。
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総予算=土地価格+建築費+諸費用
家を建てる場合、総予算を明確にすることはもっとも重要です。
総予算とは、土地や建物の価格だけでなく、建築にかかるすべての費用をひっくるめた予算のことです。
たとえば、3,780万円の建売住宅を買うとしても、それだけで住めるようになるわけではありません。消費税はもちろん、土地の登記費用や住宅ローン保証料・手数料などいろいろな費用がかかってきます。
注文住宅の場合、さらに諸費用は大きくなります。
マンションや建売の分譲戸建住宅と比べても、諸費用は大きくなります。通常は物件価格の10~15%と言われる諸費用ですが、注文住宅の場合20%はみておく必要があると思います。なぜなら、注文住宅はイチから建てる分、出来上がった住宅より費用の費目が多くなるからです。
注文住宅ならではの諸費用は以下の通りです。
- 土地仲介手数料(土地を別途購入した場合)
- 土地の固定資産税
- 地盤改良費
- 地鎮祭・上棟式などの祭祀費
- つなぎ融資にかかる印紙税・手数料・利息
これらは、諸費用のうちでもかなりの割合を占めます。地盤改良費などは建売住宅でも含まれている場合があります。が、最初から含まれているのと、契約してから増えるのとでは大違いです。同じく外構費用も、注文住宅の場合、少なく見積もられていることが多いです。
このように、注文住宅は余裕を持って資金計画をしておかないと、予算を大きく上回る危険があるのです。
総予算の考え方
土地から注文住宅を建てるとして、予算4,000万円だとします。2,000万円の土地を買い、2,000万円の家を建てるとすると、諸費用で500万円はオーバーすると思います。
まず、自分の年収でローンをいくら組めるかではなく、いくらなら返せるかを「現在の家賃」をベースに考えることをおススメします。
現在の家賃が管理費込みで85,000円、駐車料が5,000円でこれまで生活や貯蓄などを無理なくこなせていたとしたら、住宅ローン返済月額は80,000円程度に収められるようにしたほうがいいでしょう。なぜなら、固定資産税だけでも月々10,000円近い額を確保しておく必要があるからです。これは、賃貸住まいの時にはかからなかった費用なので、今ない出費は増やさないように調整しましょう。同じ理由で「ボーナス併用払い」もおススメしません。
そのうえで、毎月の返済額から借入可能額を計算してみます。
私が使いやすいのは住宅金融支援機構の借入可能額シミュレーションです。月額80,000円の返済で金利全期間1.4%として35年元利均等支払いの場合、借入可能額は約2,650万円となります。
新居に使える自己資金が850万円あるなら、3,500万円が総予算となります。
諸費用が500万円必要だとすると、3,000万円以内で土地と建物を手に入れる必要があるということです。建てたい周辺の土地相場が1,000万円ほどなら、建物価格は税込2,000万円に収めなければなりません。消費税8%なら、1.08で割ると税抜価格が分かります。
この場合2,000万円÷1.08≒1,850万円です。35坪の家を建てたいなら、この価格を35で割ると約53万円。坪単価50万円クラスの施工者を探すべきだということになります。あるいは、税込3,000万円以内の分譲住宅を探すのが相応だといえるでしょう。
つまり、住宅ローン返済に苦しむ結果を生むのは、このような予算が相応なのに、総額5,000万円以上もする大手ハウスメーカーの注文住宅や高級マンションを選択するからなのです。
返済能力以上の物件を選択しないようにするのが、資金計画のうえでもっとも重要だといえるのです。そのためには総予算から諸費用をマイナスし、物件価格を決めるようにしましょう。
では諸費用の相場について考えてみましょう。
諸費用の相場
諸費用の相場は注文住宅の場合、物件価格の2割ほどはかかると覚悟しておいた方がいいでしょう。わが家の場合、土地仲介手数料はかからず、つなぎ融資も利用しなかったものの、土地+建物価格の20%以上の費用がかかっています。
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土地仲介手数料と固定資産税
土地仲介手数料は、400万円以上の土地の場合、土地価格の3%+6万円と言われています。つまり1,000万円の土地なら36万円、2,000万円の土地なら66万円かかるということです。
建築条件付きの土地であれば、ほとんどの場合、建物施工者がその土地の持ち主なので「土地仲介手数料」というものはかかりません。ただし、建物価格とセットになっており、一見安そうに思える土地でも、建物で仲介手数料以上の額の利益が上乗せされていると個人的には考えます。
次に、土地と建物がセットの場合は、建物が完成した時点で土地ごと名義変更されることも多いです(先に土地のみ決済・名義変更されることもあります)。
しかし、土地を先に決済・所有権移転登記(名義変更)する場合、売主によっては建物完成前の土地固定資産税の負担を希望する場合があります。というのも、固定資産税はその年の1月1日時点の名義人に請求されるため、売却した時点で、その年の固定資産税の全部または一部納入を条件とされることが多いのです。
1月1日時点で更地(建物が建っていない状態)の土地だった場合、200㎡以下なら建物が建っている土地の6倍の固定資産税がかかります。
ただし、土地と建物がセットで建物完成時に一括で支払う場合、つなぎ融資の利用がないため、その分手間や費用の負担が少なくなるのはメリットだといえます。
地盤改良費の相場
地盤改良費は、その土地にもよりますが、70~150万円ほどかかることが多いようです。地盤改良については、私は土地の価値を落とすため、それほどの大金を出して柱状改良などセメントでの工法はおススメしません。どうせ高額な費用をかけるなら、地盤を強固にし、水はけ、液状化対策にもなる「砕石パイル工法」をおすすめします。土地の価値を落とさない地盤改良方法とはの記事でも紹介していますので、参考にしてください。
祭祀費の相場
大手ハウスメーカーでは、昨今、地鎮祭や上棟式を省略するところも多く、もしあっても、ご祝儀などは辞退されることも多いです。
昔ながらの地元工務店の場合は、どちらも行われることが多く、地鎮祭に6~7万円、上棟式に10~20万円などの費用をかけられるところもあるようです。ご祝儀は、現場監督や棟梁に代表で渡す場合もあれば、現場監督と棟梁に3万円、1人1人に1万ずつなどと分けられる場合もあるということです。
こういった儀式は煩わしいと考えがちですが、一生に一度のマイホームを建てていただく職人さんたちに心配りをすることは有意義であると思います。
ちなみにわが家は、あらかじめハウスメーカーの方にご祝儀やお弁当などは不要と言っていただけたので、食べ物や飲み物の差し入れのみと質素にさせていただきました。
つなぎ融資にかかる費用
つなぎ融資とは、建物完成、つまり住宅ローン本融資までに必要な土地代金、手付金、着手金、中間金などに充てる費用を支払うために借り入れるローンのことです。住宅ローンが融資されたら、そこから一括返済します。融資のたびに契約が必要となり、契約者が出向く手間と、印紙税や手数料もかかるため、かなり負担となります。
土地代金のみ先行融資という形で、本融資まで利息を支払うというローンもあり、わが家はこのタイプにしました。建物にかかる中間費用については、自己資金から充当し、つなぎ融資を利用しなかったのでかなり助かっています。
自己資金で支払える範囲に中間費用を調整してもらい、残額を引渡し時(ローン本融資時)に支払うということもできる場合がありますので、建築施工者に相談されてみるといいと思います。
坪単価の考え方
坪単価は、建築施工者によって計算の仕方がまちまちです。吹き抜けやベランダは坪単価に含めないところもあれば、玄関ポーチまで含めて計算されるところもあります。
私の建てたハウスメーカーは大変シンプルで、屋内の床がある面積のみが坪単価対象でした。つまり、ベランダは屋外なので含まれず、吹き抜けは床がないので含まれません。三和土は屋内なので坪単価に含まれます。
違うハウスメーカーでは、ベランダは含まれないが、吹き抜けは1/2で計算されるというところもありました。
割る面積が大きければ当然坪単価は安くなるので、あまり坪単価のみで比較するべきではありません。大切なのは、やはり「総予算」です。
「広さがこのくらいの、こういう家を建てたい」ということを明確にし、そのうえで見積もりを取って、建築工事費で比較するのがベストなのです。
大手ハウスメーカーでは同じ広さで同じ仕様にすると建物価格が4,200万円以上になると言われた家を、地元工務店で2,500万円以下で建てられたという例もあります。坪単価にすると100万円以上と62万円という違いです。
このように、同じ材料で同じ仕様でも、施工者によって坪単価は全然違うということです。
総予算をたて、土地価格と諸費用を差し引いて、その範囲で自分の理想を叶えてくれる施工者を選ぶことが重要です。
工務店・ハウスメーカーの坪単価相場
工務店でも坪単価50万円台のところもあれば、60万円以上するところもあります。これは、使う素材や設備によっても変わるので一概には言えません。
ただハウスメーカーは標準仕様が決まっていることが多いので、坪単価で表されることが多いです。
坪単価30~50万円ほどのローコストメーカー、50~70万円ほどの中堅ハウスメーカー、70万円以上の大手メーカーとありますが、ローコストでもオプションなどで結局50万円ほどになることもあります。大手であれば90万円となることもざらです。
工務店の場合も、仕様にこだわるほど高くなりますが、標準仕様に上乗せするという形ではないため、マイナスされず追加費用がかかるだけということがないので、納得はしやすいと思われます。標準的な家であれば、坪単価50~55万円ほど、ちょっとこだわりが大きいと60~65万円ほどが相場ではないでしょうか。
坪単価はあくまで施工者選びの目安としましょう。ただし、安いからと言って性能の低い家を選んでは、維持費がかかる短寿命の家になってしまいます。実績があり、メンテナンスコストも抑えた提案をしてくれる良い施工者を選ぶようにしましょう。
坪単価相場より総予算で計画することが重要
坪単価というものは本当にただの目安です。建てたい家をプランニングして見積してもらわなければ、予想外に大きな額になってしまいます。
設備や仕様にこだわれば、際限なくアップします。その結果、自己資金を使い果たしてしまい借り入れ額ギリギリで家を建て、入居後の暮らしが苦しいものになる可能性もあります。入居後に必要となる、固定資産税や都市計画税、修繕のための積立、水道光熱費の変化、あらゆることに対応していかなくてはならないので、1年目はとくに家計にゆとりを持っておく必要があります。
ローン返済をしながら生活し、そのうえ維持費を捻出し、教育費や老後資金の積立もしていかなくてはならないのです。
それらを理解したうえで、しっかりと返済能力にあった総予算を立ててから家づくり計画をスタートすることが失敗を防ぐうえでもっとも大切なのです。